ALPS処理水の海洋放出開始から3年が経過したことに寄せて
令和8年8月24日
ALPS処理水の海洋放出開始から3年が経過したことに寄せて
2023年8月24日にALPS処理水の海洋放出を開始してから3年が経過しましたが、ALPS処理水の海洋放出の安全性について、改めてお伝えしたいと思います。
1.ALPS処理水の海洋放出計画の安全性
第一に申し上げたいことは、「ALPS処理水の海洋放出は安全なものである」ということです。海洋放出される水のことを「核汚染水」と記述する文章がいまだに散見されますが、海洋に放出されているのはALPS処理水、すなわちALPS(Advanced Liquid Processing System)という装置を経てトリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化し、さらにトリチウムについても安全基準を十分に満たすよう、海水で大幅に希釈された後に放出されるものです。したがって、「核汚染水」との表現は不適切であり、海洋放出されるALPS処理水は人や環境に影響を及ぼすことはない安全なものであることをここに改めて強調します。原子力分野の国際的権威であるIAEAも、ALPS処理水という用語を使っています。
海洋放出による人及び環境への影響については、東京電力は、ALPS処理水の海洋放出に係る放射線環境影響評価(REIA)において、国際的な基準及びガイドラインに沿って入念な評価を行い、国際的なガイドラインに沿って定められている我が国の安全基準内に十分収まることが示されています。IAEAは、2023年7月に公表した包括報告書において、ALPS処理水の海洋放出は関連の国際安全基準に合致しており、人及び環境への影響は無視できる程度と結論付けました。
2.実際に行われた海洋放出の安全性
第二に、2023年8月から行われている海洋放出自体についても、IAEAはその安全性を認めています。2026年4月にIAEAが公表したALPS処理水の取扱いに関する安全面のレビューミッションに関する報告書においても、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されず、IAEAは2023年7月に公表された包括報告書に記載された安全性レビューの根幹的な結論を再確認することができると述べられています。また、2026年2月に訪日したエルヴィウIAEA原子力安全・核セキュリティ担当事務次長は、ALPS処理水の海洋放出が国際基準に完全に則り、計画どおり安全に実施されていることを再確認しており、同年6月には、グロッシーIAEA事務局長が東京電力福島第一原子力発電所を訪問するとともに、原子力発電所近傍において、事務局長の統括の下、IAEAの枠組みの下での追加的モニタリングが実施されました。追加的モニタリングには、中国の分析機関の専門家も参加し、事務局長自身による海水の採水も行われました。その後の会見では、ALPS処理水の海洋放出の安全性について、何層にもわたり検証しており前例がないほど透明性は高いと述べています。
日本の環境省、原子力規制庁、水産庁、福島県及び東京電力は、IAEA及び中国、韓国といった周辺国を含む第三国の研究機関と重層的、継続的なモニタリングを実施していますが、これらのモニタリング活動において異常は見つかっておらず、放出される水に含まれるトリチウムを含む放射性物質の濃度は、規制基準をはるかに下回っており、このようなモニタリングの結果はすべて公表されています。
さらに、水産物中の放射性物質については、我が国が実施したトリチウムの分析結果は1Bq/kg程度が検出された6検体を除いて検出限界値未満でした。なお、検出された6検体の検測値は、世界保健機関(WHO)による飲料水の基準の1万分の1であり、基準を大幅に下回るもので、人及び環境への影響は軽微です。放射性セシウムの分析結果も、すべて日本の食品の基準値(100Bq/kg)未満でした。
ALPS処理水の海洋放出が安全であること、更には日本産農林水産物・食品が安全であることは、ますます歴然と、科学的に証明されてきています。香港・マカオ政府が実施している検査結果のとおり、ALPS処理水の海洋放出後も、日本産食品等の安全性が確認されており、基準値を超えたケースが生じていないのは当然の結果です。
3.追加的モニタリングの結果とIAEAの包括報告書の結論との整合性
2024年10月以降、IAEAの枠組みの下での追加的モニタリングの一環として、中国を含む参加国の分析機関による試料の採取等が10回実施されています。IAEAは2026年4月に、2025年6月に実施された追加的モニタリングにおいて採水された、海水希釈前のALPS処理水の分析結果に関する報告書を公表しました。同報告書において、「分析機関から報告された結果は、ALPS処理水の海洋放出が人及び環境に対する放射線影響は無視できるほどであるとする2023年7月のIAEA包括報告書の結論と整合している」旨が記されています。詳細は下記Webサイトをご覧ください。
https://www.iaea.org/sites/default/files/2026-04/additional-measures-for-indepemdent-sampling-and-analysis-related-to-discharges-of-alps-treated-water-additional-measures-june-2025-source-monitoing.pdf
中国政府からは、これまで分析が完了したものについて、結果が正常であった旨発表されています。
こうした中、中国による日本産水産物に対する輸入規制に関し、2025年6月、中国政府は、日本の一部地域(37道府県)の水産物輸入を回復する旨の公告を発出しました。日本政府としては、引き続き中国側に対して、日本側輸出関連施設の速やかな再登録を含め、輸出の円滑化について働きかけるとともに、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等を強く求めていきます。
4.香港政府・マカオ政府の輸入禁止措置に対する日本政府の立場
香港政府及びマカオ政府については、2023年のALPS処理水の海洋放出に伴う、水産物を含む日本産食品等に対する科学的根拠に基づかない輸入規制措置を実施・維持しており、香港政府は10都県産の水産物の輸入禁止を、マカオ政府は10都県産の水産物、生鮮食品及び動物性食品の輸入禁止を、現在に至るまで継続しています。香港政府及びマカオ政府が今なお実施しているこうした措置について、日本政府は引き続き即時撤廃を求め続けています。
日本側としては、その関連の情報及び科学的データ等を高い透明性と信頼性をもって迅速かつ適切に香港及びマカオを含む国際社会に提供し続け、香港及びマカオ側が科学的根拠に基づき、我が国の求める規制の即時撤廃に向けしかるべき対応を早期にとるよう求め続けていきます。