海外安全対策情報(2019年1月~3月:香港・マカオ)
令和元年5月28日
海外安全対策情報(香港・マカオ)
1 2019年1月~3月の間に邦人が巻き込まれた犯罪
2019年1月~3月の間の在香港日本国総領事館管轄域内における日本人の犯罪被害件数は,14件でした(当館把握分)。被害内容は,財布,旅券等の窃盗による被害が主なものでしたが,建物への侵入等の被害も報告されています。
2 殺人・強盗等凶悪犯罪の事例
日本人の被害は報告されていません。
3 テロ・爆弾事件発生状況
テロ・爆弾事件の発生は報告されていません。
4 対日感情
一般的には良好ですが,先の大戦に関連して我が国に対する要求を行う団体,尖閣諸島に関して中国の領有権を主張する団体等による抗議活動は,依然として継続されており,引き続き注意が必要です。
5 日本企業の安全に関する諸問題
特段の問題は報告されていません。
6 治安情勢
香港・マカオ,両地域の最新の政府発表による犯罪発生件数を前年同期と比較したところ,香港及びマカオとも減少傾向にあり,治安情勢は比較的安定していると言えます。
(1)香港警察発表による2019年1月~4月の犯罪発生件数
2019年1月~4月の犯罪発生件数は16,980件で,前年同期より300件減少しました(1.7%減少)。ただし,詐欺事件や侵入窃盗事件等,増加傾向にある犯罪もあり,注意が必要です。
(2)マカオ保安司発表による2019年1月~3月の犯罪発生件数
2019年1月~3月の犯罪発生件数は3,364件で,前年同期より183件減少しました(5.2%減少)。ただし,詐欺事件は増加しており,特にアダルトサービスを罠として利用したネット詐欺やカジノ関連の詐欺により,金銭を騙し取られる事件が増発しており,注意が必要です。
(3)その他
ア 香港へのスタンガンや警棒等の持込み(香港でのトランジットを含みます)に関する注意喚起
香港条例第238章(槍械及弾薬条例)第13条には,「何人も免許を取得しない限り武器(Arms)(スタンガン,ペッパースプレー等)や火器を所持することができない」旨規定されており,これに違反すると,最大で10万香港ドルの罰金と禁固14年の刑に処せられる可能性があります。また,香港条例第217章(武器条例)第4条には,「何人も違法武器(Prohibited Weapons)(ナックル,警棒,ナイフ等)を所持することができない」旨規定されており,これに違反すると,最大で1万香港ドルの罰金と禁固3年の刑に処せられる可能性があります。最近,香港への旅行者,あるいは,香港でトランジットする旅行者が,香港国際空港で逮捕されるケースが増えていることから,特に注意が必要です。
(参考URL)
香港警察HP
https://www.police.gov.hk/ppp_en/04_crime_matters/cpa/cpa_at_01.html
イ 香港で短期商用活動を行う際の就労査証(ビザ)取得に関する注意喚起
香港では,「訪問査証(ビザ)」で可能な商用活動の範囲は極めて限定されており,何らかの商用活動を行う場合には,期間の長短及び報酬の有無に拘わらず「就労査証(ビザ)」を取得する必要があります。仮に「就労査証(ビザ)」を取得することなく商用活動と見なされる活動を行っていると疑われた場合には,「入境条例」違反にて逮捕・拘留され,当該本人の雇用主も同様に「入境条例」違反となる可能性があります。つきましては,香港の訪問査証(ビザ)で可能なビジネス活動は限定的であることに十分留意した上で,香港において「就労」と見なされる可能性のある活動を行う場合,あるいはそのような活動を行う者を雇用する場合には,「入境条例」違反とならないよう事前に関係情報を確認する等して,十分注意してください。
(参考URL)
香港入境事務處HP
http://www.immd.gov.hk/eng/faq/visit-transit.html
在香港日本国総領事館HP
https://www.hk.emb-japan.go.jp/files/000380758.pdf
ウ マカオ国際空港利用時の手荷物厳格化に関する注意喚起
マカオ国際空港を利用して出境する際の手荷物の取り扱いが厳格化され,折りたたみ後の長さが30cm以上の自撮棒,一脚三脚等の写真撮影用品が禁止物品である鈍器となるため,機内への持ち込みができず,預け荷物としなければならなくなりました。また,ライター,マッチについてはこれまでの預け荷物での運搬に加え,空港内の制限エリア及び機内へ持ち込みが禁止されました。刑罰については特段設けられていませんが,空港職員等によって処分されたり,一時的に保管する等の措置をとらなければならなかったりしますので,十分注意してください。
(参考URL)
マカオ民航局HP
https://www.aacm.gov.mo/guide.php?con=1&pageid=119&lg=eng
在香港日本国総領事館HP
https://www.hk.emb-japan.go.jp/files/000449860.pdf
エ 特殊詐欺事件に関する注意喚起
最近,海外において特殊詐欺事件のいわゆる「かけ子」として日本人が拘留される事案が報告されています。「海外で短期間に高収入が得られる」といった文句に誘われ,安易な気持ちで海外に渡航した結果,意図せず犯罪の加害者になってしまうこともあります。犯罪に荷担させられることにならないよう,十分注意してください。
(参考URL)
外務省海外安全HP
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2019C055.html
オ 金の密輸事犯に関する注意喚起
金地金(金塊に加えて一部加工された金製品を含む)の日本への密輸入事件が引き続き多く発生しており,2018年(平成30年)の処分件数が1,088件,押収量も2トン(速報値)を超えています。密輸仕出地別の摘発件数のうち332件が香港からであり,金の密輸入の多くは,旅行者等に日本までの運搬を依頼する手口によるもので,金の密輸入を依頼する者は,暴力団などの犯罪組織です。また,最近は航空貨物を利用した事案も増加しています。金の密輸入は脱税を伴う重大犯罪であり,犯則者には厳格な処分が行われますので,こういった犯罪に巻き込まれないように,十分注意してください。
カ 日本への肉製品の持ち込みに対する対応の厳格化に関する注意喚起
海外から日本に携帯品(お土産を含む)として違法に持ち込まれる畜産物からアフリカ豚コレラの感染症のウイルスが分離されるなど,日本の家畜へのリスクが高まっていることを受け,日本への肉製品の持ち込みに対する対応が厳格化されました。対象品は,偶蹄類の動物(牛,豚,山羊,羊,鹿など),馬,家きん,犬,兎,みつばち由来のもので,香港からの持ち込みが特に多いものは,牛豚干肉,ソーセージパン,豚肉ソーセージ,肉製品を含む弁当(機内食の持ち帰りを含む),鶏爪,肉まんが挙げられます。動物検疫所による輸入検査を受けずに対象品を持ち込んだ場合は,家畜伝染病予防法により,3年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられますので,日本に帰国される際は,十分注意してください。
(参考URL)
農林水産省動物検疫所HP
http://www.maff.go.jp/aqs/topix/mizugiwa.html
http://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/product/aq2.html